ナマズンの会計士受験お勉強メモ

会計士試験に必要だろうなと感じた事前知識や心構えを書くぞ

短答式試験勉強法〜監査論〜

<監査論とは>

監査論では、主に「公認会計士が行う監査とはどのようなものか」ということを学びます。

分量としては企業法よりは少なく、時間も企業法ほどかかりません。とはいえ、出題範囲に実務指針が含まれているため量が膨大であり、勉強が不十分だと問題が荒れたときに足切りになる可能性が十分ありますし、逆に「毎回100点!」を目指そうとすると人外レベルの努力が必要となります。

このような特徴から、丁度良いくらいの 点が取れるように上手く勉強していく必要がある科目と言えます。

なお、「毎回100点!」は人外レベルですが、「毎回70点!」「毎回80点!」程度なら普通に達成出来ますので、それくらいを目指すと良いと思います。

 

※この記事では範囲をいくつかに分け、下記の独自の呼称を使いますのでご了承ください。

・総論=総論や主体論のこと。

・実施論=監査で何をどのようにするのか。一番ボリュームがあるところ。

・報告論=監査報告書に関するところ。

・その他=「総論」「実施論」「報告論」以外の範囲すべて。

 

 

<勉強について>

監査論の講義は計算の授業が終わってから、もしくは半分以上進んでからくらいから開始されると思います。

初学者では、「計算を重視し過ぎたせいで12月短答までに理論科目が終わらなかった」と言って落ちるパターンがあるあるですので、理想としては講義のペースにあわせて監査論の勉強が出来れば最高です。しかし、監査論の講義が開始する頃では、計算が不十分だったり、計算の復習と企業法の暗記でいっぱいいっぱいだったりして監査論にまで手が回らない場合もあり得るため、こういう方は講義を聞くだけ聞いて後で復習できるようにマーカーやメモを取るだけに抑え、他科目の勉強を優先しても良いと思います。

 

本格的な監査論の勉強開始時期の目安としては、

①6月中旬(○)

②8月頭(◎)

③9月頭(△)

の3パターンがあると思います。

監査論のスタートは財務理論のスタートと被ると思います。このため、「どちらを先に始めるか」によってスタート時期が変化すると思います。①と②で選ぶ分には問題はありませんが、②と③で選ぶとちょこっと大変な目にあうのでオススメしません。

 


(※財務理論を②、監査論を③で開始した私の体験談)

8月末、監査論がノータッチのまま通常講義を終えようとしていた。10月中旬から短答直対答練が始まることとなっていたが、私は監査論が全く進んでいなかったため、そこから1ヶ月程度ただひたすらに監査論のみを勉強することにした。この結果、10月頭に監査論の勉強が一通り終わり、短答直対答練には何とか間に合ったが、8月頭からやっていた財務理論の勉強が中断され、10月頭から再開したが結局短答式試験本番までに全範囲を終えることができなくなってしまった。

結果的には講義で聞いた内容を薄っすら覚えていたため、試験本番では勉強が間に合わなかった範囲についても正解することが出来ていたが、もし監査論や財務理論の勉強をもっと早期に始めていれば、「試験本番に出題範囲の勉強が終わっていない」という状況は回避できたかもしれない。

なお、間に合わなかった範囲は「連結財務諸表」「組織再編」「四半期財務諸表」だったので結構危なかったです。


 

監査論は仕組みや理屈がわかると理解や暗記がしやすくなることがあります。

所詮は○×系統の問題ですので、テキストや肢別問題集を全て暗記する方法でも70〜80点以上は安定して取ることができますが、仕組みや理屈がわかれば更に伸ばすことを期待できます。

基本的にはテキストを何度も読み込んで仕組みや理屈を理解していくことになると思いますが、これは眠くなりますし、かなり時間がかかります。そこで、肢別問題集を使いながら仕組みや理屈を理解することをオススメします。

肢別問題集を使いながら仕組みや理屈の理解をするには、正解、不正解に関わらず「理由」を考え、確認することが重要だと思います。

例えば、肢別問題集を解きながら、○の根拠、×の根拠を見つけ、解説やテキストと照らし合わせて確認するだけで、効率的に仕組みや理屈の理解ができるはずです。この際「なぜその根拠が『根拠』になるのか」を考えましょう。

 

肢別問題集を利用して勉強をする場合は、1冊を通した正解率が95%以上になることを最終目標にしましょう。

ただし、95%以上になるのはあくまで試験直前で良いため、勉強中では各章ごとに80%以上や90%以上などの当座目標を各々設定していきましょう。

なお、当座目標を設定せず「○周解いたから次の範囲に進もう」などという勉強をすると、必要な知識量を確保できず、それが積み重なることで後の復習時に手のつけられない状態になっている、ということに気づくだけなのでやめましょう。

 

 

<監査論の勉強における注意点>

①「することができる」「しなければならない」「する場合がある」などの違いによる古典的なひっかけ問題がかなり出題されています。肢別問題集を利用する時は正解しても必ずこのような語尾の違いを確認するようにしましょう。

②同じ状況にも関わらず原典によって文言が違う場合があります。短答式ではこれらの文言が統一化されることなくバラバラのまま出題されますので、どの文言を使われても対応できるように覚えておきましょう。

③「理屈で考えると納得しにくいけど実務での都合上仕方がないルール」と言う物がたまにあるため、そういうものも割り切って覚える必要があります。

④不安になったら肢別問題集を信じましょう。答練での成績が奮わずテキストベースで学習する方がそこそこ見られる監査論ですが、受験生の判断より肢別作った講師の判断を信じた方が間違いないです。試験本番では見たことのない論点の問題も出題されることがありますが、それでも過去に出題された問題を完璧にすることで他の問題は正解できるため、合格するために十分な点数は取れます。

 

 

<監査論の論切りについて>

私の知っている限りでは、受験生の間で「細かいから」「重要ではないから」などを理由に「実施論」や「その他」の範囲の多くを論切りすることが流行っていたりします。

しかし何年か分の過去問を見ていただければわかると思いますが、実施論はリスクアプローチや品質管理だけでなく、専門家の利用や細かな手続きについても出題されていますし、会社法や金商法、公認会計士法はもちろん、歴史や倫理規則等もしっかり出題されています。これだけ出題されている範囲を細かいだの重要ではないだのと言って切っていたらいつまで経っても点数は上がりません。

論切りの判断に用いるのはあくまでも「範囲」ではなく「ランク」です。

状況が限定的で他に応用が利かないようなCランクの問題であれば切っても良いと思いますが、会社法監査だから、歴史だから、と言って切るのはやめましょう。

新しい範囲の勉強は開始時が一番苦痛だとは思いますが、何とか頑張ってなるべく論点を切ることなく勉強をしていきましょう。

 

 

<短答理論科目の共通注意点>

短答理論は4肢から2肢を選ぶ問題がほとんどです。

全肢の判断が正確に出来ればそれに越したことはありません。

実際は「○だと思うけど自信ない」「全くわからない」という肢が紛れています。

また、自分の知識が間違っており、「全肢見てみたら○が3肢あった」ということもあります。

・ 必ず全肢を確認。

・他の肢で判断できない時は、逆バリせず「○だと思うけど自信ない」を○にする。

・1肢削れば正解率は16%から33%に跳ね上がるため、1肢でも多く削る。

特に3点目が一番伝えたいことです。

1肢削れば得点の期待値が上がりますので、1肢でも多く削られるよう、なるべく論切りせずベストを尽くして本番に臨みましょう。