ナマズンの会計士受験お勉強メモ

会計士試験に必要だろうなと感じた事前知識や心構えを書くぞ

論文式試験勉強法〜企業法〜

このブログの論文式試験のお話は、主に12月組又は過年度論文生を想定しています。5月組は全く異なるアプローチでないと時間が足りず通用しないと思います。

 

 

<短答と論文の違い>

短答は主に条文に書いてある規定の内容を覚えましたが、論文では法令基準集(条文が載っている冊子)が配られるため条文の内容を覚えることはオマケ程度になり、主に「どういう理屈でどの規定を適用するべきなのか。」と言うことを問われるようになります。

してがって、論文に向けての勉強は主に

①各規定の趣旨を理解し、どのような場面で利用されるのかをわかるようにする。

②法律科目特有の答案を書けるようにする。

ことを目的に行うこととなります。

 

 

<企業法に関する知識及び注意点>

①主に会社法から出題される。商法、金商法は予備校でも十分な対策が行われないため出題されても埋没になる。

②1回の試験で出題される問題数が少ないため(6問程度)、1問あたりの影響が他科目よりも大きく、足切りの可能性を考慮する必要がある。

③書き方さえ身についてしまえば勉強の負担が少ない。

 

〜解説〜

②企業法の失点は「文章が下手」または「論ズレ」の2パターンがあります。前者の場合は部分点が期待出来るため恐れる必要はありません。問題は後者で、最悪1問丸ごと0点があり得ます。埋没以外の問題で論ズレを起こすことのないように、重要な論点は確実に書けるようにしておく必要があります。

③単純な暗記よりも理解がメインの科目であるため、一度書けるようになると、その後はメンテナンスで事足ります(と言うか、あの長文を全暗記するのはコスパが悪すぎる気が・・・一定数いるみたいですが・・・)。ただし、「書けるようになるまで」がかなり大変ですので決して軽い科目ではないです。

 

 

<初学者向け、勉強時期について>

大学で法律科目を受け、論述式の答案を書いたことがあるかどうかによって多少変わると思います。

①ド素人

予備校で「書き方講義」があると思いますが、知識がない状態で受講しても全く身にならないので、「書き方講義」のペースにあわせて予習しておくことをオススメします。とはいえ、12月中は租税法と財務会計論の方が優先度が高いため、余裕がない場合は年明けあたりから初めても良いと思います。また、企業法の勉強の仕方が全くイメージ出来ない場合には最悪序盤の答練を捨てて、「どのような試験なのか」を実際に経験してから本格的な勉強を開始するのも手だと思います。意味不明な勉強をして無駄に時間を浪費するくらいなら、身をもって知った方が早いですし、法令基準集のお陰で意外と書けるため、模範解答と見比べることで「何が足りていないのか」「何を書けるようにしていけば良いのか」を知ることが出来るのではないかと思います。

②答案を書いたことがある

「何を書けば良いのか」「どこを覚えれば良いのか」がわかっているはずなので、ド素人の方々と比べてかなり有利です。予備校で「書き方講義」を受講する方はそのペースに合わせて学習すれば良いでしょうし、受講しない方は答練のペースに合わせて学習すれば良いと思います。

 

 

<企業法の勉強の仕方>

まずは問題集を利用し、出題範囲の論点の立法趣旨やそれに基づく法解釈を覚えましょう(当然ですが短答でしか出題されない論点の趣旨等は覚える必要はありません)。

この際必ず条文を確認しましょう。答案を書く際に条文の指摘をする必要がありますが、必ずしも条文と書きたい内容の文面が一致しているとは限らないため、その確認をしていく必要があります。

覚える論点の数はそこまで多くないですが、文章量が多く、自分自身が順序立てて理論的に書けるようにならなくてはいけないため、地道に、正確に理解し、再現できるようにしていきましょう。

 

これを全部覚えることが出来ればあとは答案の書き方を身につけるだけで企業法の勉強はほぼ終わりです。

 

企業法に限った話ではないのですが、長文の答案を採点する際、採点者は「この文章が書かれていれば1点加点」のような感じで採点基準を設けています。したがって、多く書けば書くほど加点されるという訳ではないし、大筋が当たっていても加点対象の文章を書いていなければ点数は来ないです。このため、「加点対象となる文章を確実に書く」ことを意識する必要があります。

企業法の答案では、

①どんな問題が起きていて、この問題を解決するためには何がわかれば良いのか。

②①がわかるためにはどの規定を適用することになるのか。

③②の規定はどんな内容で、それによってどんなことが言えるのか。

④③の考え方をこの問題に当てはめることは出来るのか。当てはめた結果どうなるのか。

を書いていけば事例問題では概ね点数が来ます。

勉強をしてしっかり覚えた立法趣旨や法解釈は③で使うので、③を書くのは得意になるでしょうしガッツリ書きたくなると思います。しかし、①や④にも加点対象が存在しているので、これらを忘れずしっかりと書かなければ点数は低くなってしまいます。

したがって、「答案の書き方」を練習する際は、③の書き方だけでなく①や④も丁寧にかけるよう、お手本である模範解答と自身の答案を比べていきましょう。

 

なお、この手の問題では多く書き過ぎても理屈が間違っていなければ減点は来ないはずです。減点が来るのは「間違ったことを書いた」「文体や漢字を間違えた」場合のはずです。ですので、模範解答と比べて余計な文章があったとしても気にする必要はありません。むしろスマートな答案を目指すあまり加点対象となる文章までも削る恐れがありますので、理屈が間違ってなくて解答欄に余裕があるなら書いてしまいましょう。

 

また、法解釈によって、解答が複数存在する問題があります。この場合でも「理屈が間違っていなければ加点」となります。このため、模範解答と自分の答案が全く異なっていても論ズレにならない可能性があります。立法趣旨や法解釈の勉強をしっかりしておくと、こういうケースにその場で対応出来るようになりますので、引き出しを多く持っておくと役に立ちます。

 

 

<論文答練について>

①答練を受け、模範解答を確認し、どんな理屈で答案を作成しているのかを確認する。

②復習していない答練が4個程度溜まったらまとめて解き直しをする。この際必ず時間を計り、制限時間以内に解けたかどうかも重視する。

③②を繰り返し、「基礎答練」「応用答練」などを1ヶ月〜2ヶ月程度おきにまとめて解き直しをする。得点は主に明確な採点基準があるものの合計点数の7割以上(たぶん56点以上)、時間は1時間半程度を目標にしましょう。

 

なお、自己採点は出来たらする程度で良いですが、他科目と違い論点ごとに点数が大きくバラつくはずなため、実力の目安になると言い切れないと言うことを頭の中に入れておいてください。あくまでも「その論点・その問題の理解度」しかわかりません。

また、出題問題数の関係上、重要度がめちゃくちゃ低い論点が50点分を占める場合もあります。

 

以上より、他科目と比べて答練の信頼度が落ちますので、定期的な実力の確認目的には絶対に使わず、あくまでも問題形式のテキスト代わりとして使うようにすることをオススメします。明らかな重要論点だけでなく、「問題集に載ってる論点だけど問われ方が違う」という問題も多々あると思いますので、そういった論点の理解を深めることなどに答練を使っていきましょう。

 

 

<余談>

短答と論文で全くの別物ですが、短答知識が全く役に立たない訳ではありません。

むしろ、短答知識が豊富だと、細かい規定を指摘出来たり、結論を素早く書けたり出来ます。

また、短答論点を法令基準集で探させて規定をそのまま書かせる問題もあります。

したがって、テキストを用いた復習をする際は、短答知識の確認も多少しておくと、ちょっと良いことがあるかもしれません。