ナマズンの会計士受験お勉強メモ

会計士試験に必要だろうなと感じた事前知識や心構えを書くぞ

論文式試験勉強法〜租税法〜

このブログの論文式試験のお話は、主に12月組又は過年度論文生を想定しています。5月組は全く異なるアプローチでないと時間が足りず通用しないと思います。

 

 

<租税法とは>

租税法は「法人税法」「所得税法」「消費税法」の3つをあわせたものをいいます。

試験は理論問題と計算問題からなりますが、会計学と異なり複数の視点に立つ必要がなく、企業法と異なり趣旨等を論じる必要もないため、理論のウェイトはかなり軽いです。計算問題で「どの条文を根拠にその解き方をしているのか?」ということがわかっていれば理論はほとんど解けるため、計算中心の勉強になります。

なお、会計学と異なり仕訳を書いたり連結財務諸表のような派手な問題はありません。

 

<初学者向け、勉強開始時期について>

短答終わってから始めれば良いです。

予備校によっては短答前から講義があるところもあるかもしれませんが、短答の勉強最優先で構いません。

 

短答が終わると、勉強のスタンスを短答用から論文用に切り替える必要があります。

短答では文章を読んで○×の判断ができればよかったのですが、論文では白紙の状態から文章を書かなければなりません。

つまり、「ざっくりと頭でわかっている状態」から「正しい言葉で説明できる状態」にまで進化させる必要があります。

勉強の目的が異なるため、論文用の勉強に慣れるには1ヶ月〜2ヶ月程度を必要とします。

この間に会計学や企業法の論文対策を重視しすぎても全く進みませんし、最悪勉強自体が嫌になってしまう可能性があります。

 

この点租税法の勉強は主に今までやってきた計算の勉強とほとんど変わらないため、勉強の仕方自体は苦痛にならないかと思います。

このため、時間を無駄にしないためにも、短答直後は租税法を集中的に行い、合間の時間で他の科目の論文対策を行い慣れていく、というやり方が効率が良いかと思います。

 

したがって、

短答直後から講義のペースに合わせて勉強を開始。

所得税法消費税法についても講義のペースに合わせて行えるように、12月、1月は法人税法を重点的に行い講義に遅れないようにしておきましょう。

 

 

<租税法に関する知識及び注意点>

租税法は取り組み方を間違えるとドツボにハマる科目であるため、事前に知っておくべき事及び注意すべき事を書いていきます。

①本試験では「得点比率52」を超える点数はかなり低く、高得点層も低い。

②答練や模試では「得点比率52」を超える点数は低いが、高得点層は高い。

③出題範囲は狭いが覚えるべき項目が多い。

④「論切り」が最も横行している。

⑤初学者でも5月あたりには過年度論文生を超えられる。

⑥苦手意識を持ちやすい。

 

〜解説〜

①計算は60点分あります。5月組の多くが全く点数が取れない状態で本試験に臨むためか平均点がかなり低く、計算20点程度取れば合格ボーダーを超えます。理論で取れていれば計算1桁でも足切りません。逆に高得点層については、問題の分量が多く全てに手をつける事ができなくて高得点が取れない状態となっています。計算40点もあれば偏差値70を超えます。

 

②予備校が実施する答練や模試では、受験生が見た事のある問題形式が多いということもあり、ちゃんと時間内に終わるように作られています。したがって、5月組が点数を取れないことに変わりはありませんが、高得点層は本試験よりも高くなります。計算40点あっても偏差値は60ちょい程度になります。

 

①、②から、普段の答練での点数が低くても許されるという訳ではないことがわかると思います。本試験の方が点数が下がりますので、普段の答練では少なくとも計算で30点以上を取れるようにする必要があると思います。また、平均点を下げてくれる層がいるということはそれだけ「得点源」にできるということです。会計学や監査論で稼ぎにくい分を租税法で稼ぐ事ができればかなり有利に戦えます。

 

法人税の出題範囲は財務会計論の個別論点とそこまで変わりません。むしろ少ないと思います。しかし、各論点ごとに異なる計算方法が設けられており、用いる割合等の数値の理由も「法律で定めたから」というものがほとんどで、非常に覚えにくいです。

また所得税、消費税は計算の仕方が決まっているため、複数の計算方法を覚える必要はありませんが、こちらも用いる割合等の数値の理由は「法律で定めたから」がほとんどで、一つ一つ正確に覚える必要があります。

 

④計算式を一つ一つ覚える事は苦痛であり、割合も覚えにくいものが多いです。また、前述の通り平均点が低いため意図的に勉強する範囲を切って、「得点比率52を死守」という方針の方が多々います。このため論切りがかなり横行しています。「消費税法のテキスト開かずに本試験受けた」という合格者も稀にいます。

 

③、④から、租税法は計算センスより暗記量がものを言うことがわかると思います。ここで暗記を怠ると低得点層の仲間入りを果たせます。

暗記モノは覚えようとしないと身につきません。体系的な理解だけで名称や計算式を覚えられたらその人の脳はアストラル世界に繋がっているのでしょうね。目標点数を設けて、少しでもこの科目で有利になるように、論切りせずしっかり覚える事をオススメします。

 

⑤租税法は暗記モノの面が強く、時間をかければかけるほど点数が伸びると言われています。だからと言って初学者が過年度生に勝てない訳ではありません。過年度生は当然に強く、中には前年度の試験終了後からずっと租税法の勉強に力を入れている人もいます。しかし、実際には「過年度生=科目合格に届かなかった人」であり、決して租税法が得意という訳ではありませんから、序盤は厳しいですが、テキストを一順し終わる頃には初学者でも過年度生以上の力を身につけることが可能なのです。

 

⑥これは主に5月組過年度生の方に関係する話です。5月組の方は非常に短い勉強期間で本試験に臨むこととなり、「範囲が終わらない」「話が細かい」「計算がややこしい」などの印象から苦手意識をもつ方が多数います。こうなると過年度生になったときに、「租税法は苦手だから」とか「租税法は点数が低くても足引っ張らないから」と言ってロクに勉強しなくなる場合があります。時間をかけて一からやり直せば必ず伸びる科目ですから、苦手意識を持つ前に何故点数が取れないのかを振り返り、反省しましょう。

 

⑤、⑥から、有効な勉強をする期間を最も多く確保することのできる過年度生が一番有利にも関わらず、必ずしもその通りの結果にならないことがわかります。過年度生は初学者に抜かされないように、初学者は周りの初学者に置いて行かれないように、そして何より、5月組を見て安心することのないように、勉強をして高得点を狙いましょう。

 

 

<勉強の仕方>

※2月〜3月は会計士受験名物の答練地獄期間になりますので、短答の計算の勉強とは少し変えています。

 

・講義受講期間中

①講義を受ける

②3日以内に習った範囲の問題集は確実に正答できるようにする

③②から3日〜1週間空いたらまた解き直す

④①〜③を繰り返し、「○○税法」の最終講義が終わると同時に、その範囲までの復習を終わらせておく。

(注意)勉強に集中できる期間がかなり短いですが、必ず復習を行ってください。他科目の勉強もしなければならないため、無理をしてでも答練地獄が始まる前に講義で習った範囲までの復習は終わらせてください。この時点では「習った=完璧」を目指す必要はなく、ある程度の知識が残れば十分です。答練地獄が終わる4月から完璧を目指した勉強をしていけばいいです。

 

・計算答練開始後(論文答練については後述)

①計算答練が始まる前にその範囲までの学習は終わらせておく。(上記の勉強をサボらないということ)

②計算答練を受け、自己採点。点数を毎回記録する。点数記録用紙は無意識下でも目につくように配置する。

③計算答練の間違えた箇所、理解が足りなかった箇所をその日の内に見直し、解消する。

④①〜③を続け、復習していない答練が3個程度溜まったらまとめて解き直しをする。この際必ず時間を計り、制限時間以内に解けたかどうかも重視する。点数を記録し、前回と比較、下がっているor上がるべきなのに上がっていない場合は点数記録用紙に印をつけておく。また、間違えた問題は解説を見て解き直しを行う。

⑤④のあと、さらに3個溜まったら、それまでに受けた答練をすべてまとめて解き直しをする。ただし、最序盤に行った計算答練は難易度が低すぎる場合があるため、最序盤の答練の復習は必要以上に行わない。今回も時間を計り点数を記録し、悪ければ点数記入用紙に印をつけ、間違えた問題の解き直しを行いましょう。また、3回目以降の復習では「時間をどれだけ短縮できるか」という点も意識しましょう。極まると1時間の答練なら20分〜40分で解けるようになります。

 

 

<点数を伸ばすために>

①答練で見た論点は原則切らない。

②計算スピードを高めるため、普段の勉強でも時間を計る。

所得税法消費税法も切らない。

④最後の税額の求め方まで一応覚える。

 

①と②がミソです。特に②です。

本試験は分量が多いため、計算が速ければ速いほど多くの点数を積められます。

範囲がそこまで広くないため、出題される問題やみんなが解ける問題がどれか、と言うことはある程度予想ができると思います。ここで差をつけるにはスピードなんですね。

何度も繰り返し時間を計って解くことでスピードは上がりますから、慣れるまで頑張っていきましょう。

 

 

<理論の勉強>

理論問題の難易度が低く、受験生の間で差もつきにくいです。また、計算の仕方がわかっており、その根拠条文が何かを法令基準集から探し当てることが出来れば正答できます。

一部理論問題でしか扱わない論点がありますが、まずは計算を完璧にし、計算に関する理論を解けるようにし、その後理論特有の論点を学習すればいいと思います。

勉強の仕方としてはテキストを読んで覚えるというよりは、答練で出題された問題を漏れなく復習すればいいと思います。そこまで出題パターンも多くないので答練で足ります。

さらに、理屈を覚える必要はありませんから、条文番号を指摘できるようにすることを重視すればいいです。

具体的には、

問題文を読んで状況を把握する→条文が何かを確認する→再度答練を解いた時に書けるかどうかを確認する

 

 

<論文答練について>

時間配分、理論対策、知識の定着に効果があります。

①論文答練を受け、可能な範囲で自己採点。

②わかっている範囲で、間違えた箇所、理解が足りなかった箇所をその日の内に見直し、解消する。

③①〜②を続け、復習していない答練が2個程度溜まったらまとめて解き直しをする。この際必ず時間を計り、制限時間以内に解けたかどうかも重視する。出来るのであれば理論の加点箇所を理解し、採点する。

④③を繰り返したら、「基礎答練」「応用答練」などを1ヶ月程度おきにまとめて解き直しをする。難易度に関わらず得点は80点以上、時間は1時間半程度を目標にしましょう。

 

時間配分としては、

初見時

理論45分、法人税法40〜50分、所得税法15分、消費税法15分

復習時

理論30分、法人税法40分、所得税法10〜15分、消費税法10〜15分

程度だと思います。余裕はありません。

ちなみに理論は条文番号がわかっているかどうかでかなり時間が短縮されると言うだけで、初めて見た問題をこの時間で解くことは不可能です。

 

 

<最後に>

租税法はマイナー論点が非常に多いです。

マイナー論点を正確に抑えると高得点を狙えますが、それはスピードや得点が及第点に乗った後に行うべきことです。優先順位を間違えないようにしましょう。

しかし、スピードや得点が及第点に乗った後には必ずマイナー論点を抑えてください。「出題されそうだけどマイナー論点」が多数あるのも事実ですので、さらに点数を伸ばし得点源にするためには勉強しておきましょう

 

 

短答式試験勉強法〜財務会計論(理論)〜

<財務理論とは>

財務会計論は計算だけでなく理論も問われます。計算ほどではないですが、相当の分量があり大変です。理論を学習することで理論問題への対応ができるようになるだけでなく、計算の背景理解にもなり、計算の点数アップも期待できますので、重要な財務会計論を得意科目にできるようしっかり勉強していきましょう。

 

※この記事では範囲をいくつかに分け、下記の独自の呼称を使いますのでご了承ください。

・総論=会計主体論、企業会計原則、概念フレームワーク、収益、費用、資産、負債、純資産など、考え方の基盤になる範囲のこと。

・各論=リース、退職給付、外貨など、それぞれの会計処理のこと。

 

 

<勉強について>

財務理論の講義は計算の授業が終わってから、もしくは半分以上進んでからくらいから開始されると思います。

初学者では、「計算を重視し過ぎたせいで12月短答までに理論科目が終わらなかった」と言って落ちるパターンがあるあるですので、理想としては講義のペースにあわせて財務理論の勉強が出来れば最高です。しかし、財務理論の講義が開始する頃では、計算が不十分だったり、計算の復習と企業法の暗記でいっぱいいっぱいだったりして財務理論にまで手が回らない場合もあり得るため、こういう方は講義を聞くだけ聞いて後で復習できるようにマーカーやメモを取るだけに抑え、他科目の勉強を優先しても良いと思います。

 

本格的な財務理論の勉強開始時期の目安としては、

①6月中旬(○)

②8月頭(◎)

③9月頭(△)

の3パターンがあると思います。

財務理論のスタートは監査論のスタートと被ると思います。このため、「どちらを先に始めるか」によってスタート時期が変化すると思います。①と②で選ぶ分には問題はありませんが、②と③で選ぶとちょこっと大変な目にあうのでオススメしません。

 

 

財務会計論を勉強する際は、まず総論を完璧にすることを第一目標としてください。

財務会計論は学問としての歴史が長いこともあり、かなり体系化されていると言えます。このため、幹となる総論の理解がしっかりすればするほど、枝葉である各論の理解もしやすくなり、定着も良くなります。

しかし総論の範囲は各論と違い「計算でやっていることを文章化した」ものがほとんどなく、とっつきにくい印象を持たれるかもしれません。始めがキツイですが、何とか頑張って切り抜けていきましょう。

また、財務理論は出題範囲に実務指針が含まれており、出題可能性のある範囲の分量が非常に膨大です。このため、見たことのない問題や、知らない論点、知らない言い回し等にぶち当たることが多々あります。総論の理解をしっかりして、こういったケースにもある程度対応できるようにしておきましょう。

 

総論の勉強は主に

「テキスト精読→知識の整理→肢別問題集」

で問題ないと思います。

ただし、財務理論の場合は企業法等と異なり、同じ論点でも文章が全く違うものになることが多々あります。肢別問題集を解くだけだと文章が変わった時に対応しづらいことがあるため、「何がメインで問われているのか」「テキストではどのように書かれているのか」などを意識して、文章が変わった場合にも対応できるようにしておきましょう。

 

 

総論が終わったら次は各論です。

各論の範囲は、他の方もよく言われているように「計算で使う考え方をそのまま文章化した」ような論点も多々含まれています。そして、総論で学んだ考え方の基礎を元にして各会計処理ごとの詳しい考え方が作られていますから、計算や総論の勉強が終わった方々にとっては進みやすく覚えやすく理解しやすいと思います。

 

各論の勉強をしてみて、総論よりも理解がしやすいと感じた方は、企業法のように肢別問題集メインで勉強を進めていって問題ないと思います。全暗記でも良いくらいです。

総論と同じくらい苦労する、もしくは総論よりも覚えにくいと感じた方は、計算や総論の理解が甘いため、そちらに戻って勉強し直すことが必要ですし、肢別問題集だけでなく、テキストを読み込んで体系的な理解をできるよう努めていきましょう。

 

肢別問題集を利用して勉強をする場合は、1冊を通した正解率が95%以上になることを最終目標にしましょう。

ただし、95%以上になるのはあくまで試験直前で良いため、勉強中では各章ごとに80%以上や90%以上などの当座目標を各々設定していきましょう。

なお、当座目標を設定せず「○周解いたから次の範囲に進もう」などという勉強をすると、必要な知識量を確保できず、それが積み重なることで後の復習時に手のつけられない状態になっている、ということに気づくだけなのでやめましょう。

 

 

<余談>

財務会計論には税効果会計というものがあります。

計算でも理論でもお世話になる論点ですが、中々ややこしく、人気のない論点でもあります。

論文式試験になると「租税法」が追加されますが、税効果会計の理論をしっかりと理解しておくと、租税法のうちの「法人税法」の導入部分でかなり優位に立つことができます。

税効果会計は会計上、法人税法は税法上のものであるため、完全にイコールではないのですが、計算の理屈としては似た部分がかなりあるため、なるべく短答式試験が終わるまでに税効果会計を得意な論点にしておくことをオススメします。

 

 

<短答理論科目の共通注意点>

短答理論は4肢から2肢を選ぶ問題がほとんどです。

全肢の判断が正確に出来ればそれに越したことはありません。

実際は「○だと思うけど自信ない」「全くわからない」という肢が紛れています。

また、自分の知識が間違っており、「全肢見てみたら○が3肢あった」ということもあります。

・ 必ず全肢を確認。

・他の肢で判断できない時は、逆バリせず「○だと思うけど自信ない」を○にする。

・1肢削れば正解率は16%から33%に跳ね上がるため、1肢でも多く削る。

特に3点目が一番伝えたいことです。

1肢削れば得点の期待値が上がりますので、1肢でも多く削られるよう、なるべく論切りせずベストを尽くして本番に臨みましょう。

 

 

短答式試験勉強法〜監査論〜

<監査論とは>

監査論では、主に「公認会計士が行う監査とはどのようなものか」ということを学びます。

分量としては企業法よりは少なく、時間も企業法ほどかかりません。とはいえ、出題範囲に実務指針が含まれているため量が膨大であり、勉強が不十分だと問題が荒れたときに足切りになる可能性が十分ありますし、逆に「毎回100点!」を目指そうとすると人外レベルの努力が必要となります。

このような特徴から、丁度良いくらいの 点が取れるように上手く勉強していく必要がある科目と言えます。

なお、「毎回100点!」は人外レベルですが、「毎回70点!」「毎回80点!」程度なら普通に達成出来ますので、それくらいを目指すと良いと思います。

 

※この記事では範囲をいくつかに分け、下記の独自の呼称を使いますのでご了承ください。

・総論=総論や主体論のこと。

・実施論=監査で何をどのようにするのか。一番ボリュームがあるところ。

・報告論=監査報告書に関するところ。

・その他=「総論」「実施論」「報告論」以外の範囲すべて。

 

 

<勉強について>

監査論の講義は計算の授業が終わってから、もしくは半分以上進んでからくらいから開始されると思います。

初学者では、「計算を重視し過ぎたせいで12月短答までに理論科目が終わらなかった」と言って落ちるパターンがあるあるですので、理想としては講義のペースにあわせて監査論の勉強が出来れば最高です。しかし、監査論の講義が開始する頃では、計算が不十分だったり、計算の復習と企業法の暗記でいっぱいいっぱいだったりして監査論にまで手が回らない場合もあり得るため、こういう方は講義を聞くだけ聞いて後で復習できるようにマーカーやメモを取るだけに抑え、他科目の勉強を優先しても良いと思います。

 

本格的な監査論の勉強開始時期の目安としては、

①6月中旬(○)

②8月頭(◎)

③9月頭(△)

の3パターンがあると思います。

監査論のスタートは財務理論のスタートと被ると思います。このため、「どちらを先に始めるか」によってスタート時期が変化すると思います。①と②で選ぶ分には問題はありませんが、②と③で選ぶとちょこっと大変な目にあうのでオススメしません。

 


(※財務理論を②、監査論を③で開始した私の体験談)

8月末、監査論がノータッチのまま通常講義を終えようとしていた。10月中旬から短答直対答練が始まることとなっていたが、私は監査論が全く進んでいなかったため、そこから1ヶ月程度ただひたすらに監査論のみを勉強することにした。この結果、10月頭に監査論の勉強が一通り終わり、短答直対答練には何とか間に合ったが、8月頭からやっていた財務理論の勉強が中断され、10月頭から再開したが結局短答式試験本番までに全範囲を終えることができなくなってしまった。

結果的には講義で聞いた内容を薄っすら覚えていたため、試験本番では勉強が間に合わなかった範囲についても正解することが出来ていたが、もし監査論や財務理論の勉強をもっと早期に始めていれば、「試験本番に出題範囲の勉強が終わっていない」という状況は回避できたかもしれない。

なお、間に合わなかった範囲は「連結財務諸表」「組織再編」「四半期財務諸表」だったので結構危なかったです。


 

監査論は仕組みや理屈がわかると理解や暗記がしやすくなることがあります。

所詮は○×系統の問題ですので、テキストや肢別問題集を全て暗記する方法でも70〜80点以上は安定して取ることができますが、仕組みや理屈がわかれば更に伸ばすことを期待できます。

基本的にはテキストを何度も読み込んで仕組みや理屈を理解していくことになると思いますが、これは眠くなりますし、かなり時間がかかります。そこで、肢別問題集を使いながら仕組みや理屈を理解することをオススメします。

肢別問題集を使いながら仕組みや理屈の理解をするには、正解、不正解に関わらず「理由」を考え、確認することが重要だと思います。

例えば、肢別問題集を解きながら、○の根拠、×の根拠を見つけ、解説やテキストと照らし合わせて確認するだけで、効率的に仕組みや理屈の理解ができるはずです。この際「なぜその根拠が『根拠』になるのか」を考えましょう。

 

肢別問題集を利用して勉強をする場合は、1冊を通した正解率が95%以上になることを最終目標にしましょう。

ただし、95%以上になるのはあくまで試験直前で良いため、勉強中では各章ごとに80%以上や90%以上などの当座目標を各々設定していきましょう。

なお、当座目標を設定せず「○周解いたから次の範囲に進もう」などという勉強をすると、必要な知識量を確保できず、それが積み重なることで後の復習時に手のつけられない状態になっている、ということに気づくだけなのでやめましょう。

 

 

<監査論の勉強における注意点>

①「することができる」「しなければならない」「する場合がある」などの違いによる古典的なひっかけ問題がかなり出題されています。肢別問題集を利用する時は正解しても必ずこのような語尾の違いを確認するようにしましょう。

②同じ状況にも関わらず原典によって文言が違う場合があります。短答式ではこれらの文言が統一化されることなくバラバラのまま出題されますので、どの文言を使われても対応できるように覚えておきましょう。

③「理屈で考えると納得しにくいけど実務での都合上仕方がないルール」と言う物がたまにあるため、そういうものも割り切って覚える必要があります。

④不安になったら肢別問題集を信じましょう。答練での成績が奮わずテキストベースで学習する方がそこそこ見られる監査論ですが、受験生の判断より肢別作った講師の判断を信じた方が間違いないです。試験本番では見たことのない論点の問題も出題されることがありますが、それでも過去に出題された問題を完璧にすることで他の問題は正解できるため、合格するために十分な点数は取れます。

 

 

<監査論の論切りについて>

私の知っている限りでは、受験生の間で「細かいから」「重要ではないから」などを理由に「実施論」や「その他」の範囲の多くを論切りすることが流行っていたりします。

しかし何年か分の過去問を見ていただければわかると思いますが、実施論はリスクアプローチや品質管理だけでなく、専門家の利用や細かな手続きについても出題されていますし、会社法や金商法、公認会計士法はもちろん、歴史や倫理規則等もしっかり出題されています。これだけ出題されている範囲を細かいだの重要ではないだのと言って切っていたらいつまで経っても点数は上がりません。

論切りの判断に用いるのはあくまでも「範囲」ではなく「ランク」です。

状況が限定的で他に応用が利かないようなCランクの問題であれば切っても良いと思いますが、会社法監査だから、歴史だから、と言って切るのはやめましょう。

新しい範囲の勉強は開始時が一番苦痛だとは思いますが、何とか頑張ってなるべく論点を切ることなく勉強をしていきましょう。

 

 

<短答理論科目の共通注意点>

短答理論は4肢から2肢を選ぶ問題がほとんどです。

全肢の判断が正確に出来ればそれに越したことはありません。

実際は「○だと思うけど自信ない」「全くわからない」という肢が紛れています。

また、自分の知識が間違っており、「全肢見てみたら○が3肢あった」ということもあります。

・ 必ず全肢を確認。

・他の肢で判断できない時は、逆バリせず「○だと思うけど自信ない」を○にする。

・1肢削れば正解率は16%から33%に跳ね上がるため、1肢でも多く削る。

特に3点目が一番伝えたいことです。

1肢削れば得点の期待値が上がりますので、1肢でも多く削られるよう、なるべく論切りせずベストを尽くして本番に臨みましょう。

 

 

短答式試験勉強法〜企業法〜

<企業法とは>

企業法は会社法、商法、金融商品取引法(金商法)の3つをあわせたものを言います。

純粋にテキストが分厚く、時間をかける必要がありますが、短答4科目中もっとも問題が荒れにくく、安定して高得点を取ることができます。また、管理会計論の低得点の穴埋めという役割もありますので、ぜひ得意科目になるよう頑張りましょう。

 

※この記事では範囲をいくつかに分け、下記の独自の呼称を使いますのでご了承ください。

・機関まで=会社法第2編の第1章、第2章、第4章つまり、「設立」「株式」「機関」の3つの範囲のことです。

・計算以降=会社法で、「総則」「機関まで」「組織再編」を除いた範囲のことです。

・商法=会社法総則と商法のことを言います。

・金商法=金商法のことを言います。

 

 

<勉強について>

企業法の講義は他の理論科目と比べ少し早めに開始されると思います。

開始直後では計算の勉強に追われている方も多くいると思いますので、講義を聞くだけ聞いて後で復習できるようにマーカーやメモを取るだけに抑え、まずは計算を進めていきましょう。

(真面目な方は計算の合間を縫って講義の進度に合わせた復習や問題演習程度ならばできると思いますので、できる方は是非復習や問題演習にも取り組んでいきましょう。)

 

本格的な企業法の勉強開始時期の目安としては、

①4月頭(◎)

ゴールデンウィーク(○)

③6月末(△)

の3パターンがあると思います。

企業法のスタートが遅れれば遅れるほど、財務理論と監査のスタートが遅れるため、可能な限り早期にスタートしてください。

計算の進度にあわせて①か②を選びましょう。③はその後の勉強がカツカツになるのでオススメしません。

 

 

企業法は原典がハッキリしているため、勉強した範囲からそのまま出題されます。

イメージとしては歴史の勉強に似ています。

このため、

テキスト精読→音読or写経→問題演習

という小学生でも思いつきそうな勉強法が非常に良い効果を発揮します。

そして、短答式では一つの論点を複数の視点から見るということもないため、肢別問題の問題文のパターンも数が限られることから、肢別問題集全暗記という力技でも対応することができます。「○ならそのまま覚える。×なら解説を覚える。」みたいなやつです。

 

肢別問題集を利用して勉強をする場合は、1冊を通した正解率が95%以上になることを最終目標にしましょう。

ただし、95%以上になるのはあくまで試験直前で良いため、勉強中では各章ごとに80%以上や90%以上などの当座目標を各々設定していきましょう。

なお、当座目標を設定せず「○周解いたから次の範囲に進もう」などという勉強をすると、必要な知識量を確保できず、それが積み重なることで後の復習時に手のつけられない状態になっている、ということに気づくだけなのでやめましょう。

 

 

勉強を開始する際は、まず機関までの範囲をマスターしましょう。

機関までの範囲は、1章ごとの分量が多く時間がかかり、また、出題数が多く配点が多いため、早期にマスターすることで、以降の勉強が楽になるとともに、高得点を取るための基盤を作ることができます。

計算以降や商法、金商法の講義が始まるのは結構遅いはずなので、機関までの講義が終わるまでに自分の勉強と講義の進度を合わせることができると思います。

この段階まできたら講義の進度を越えましょう。企業法ならできるはずです。

講義の進度を越えて、「機関まで」と「計算以降」を7月末までに終わらせることができれば上出来です。

なお、「計算以降」の範囲には、「持分会社」や「社債」などが含まれています。

受験生の間ではよく論切り対象に選ばれていますが、必ず勉強しましょう。論文でも出題可能性はあります。そもそも短答式で普通によく出ます。

前述の通りですが、企業法には他科目(特に管理)の穴埋めという役割がありますので、必ず高得点を取らなければなりません。このため、企業法については論切りをして点数を妥協する選択肢はありません。

 

残るは「組織再編」「商法」「金商法」です。

「機関まで」と「計算以降」の範囲が終わる頃には財務理論や監査に手をつけなければならない状況になっているはずなので、残った3つはそれらとの折り合いをつけながら勉強することになると思います。そして残る割にはよく出題され、配点も多く、捨てるわけにはいきません。

このためこの3つは個別にお話をしていきます。

 

 

<組織再編>

遅くとも9月末までには必ず手をつけるようにしましょう。

金商法の次にややこしい範囲です。短答式企業法の中で唯一「仕組みの理解」を求められる範囲かもしれません。

よく出題され、1回の試験で2問出題されることもザラです。稀に一切出題されないときもあります。

財務会計論の組織再編に近い内容ですので、時期を合わせて勉強しても良いかもしれません。

また、企業法で先に勉強しておくと財務会計論の時に理解しやすいということもあるかもしれませんので、自分の好きなように選択しましょう。

多くのパターンがあり、覚えることが多い印象を持たれると思いますが「それぞれの株主にとってどんな影響があるのか。」という視点で共通点を見つけることができれば少しは覚えやすくなるかもしれません。

 

 

<商法>

この3つの中では最も自習で進めやすい範囲なので、積極的に片付け、8月中に終わらせましょう。

初学者は勉強が間に合わず捨てる場合も多々ありますが、割と普通に1回の試験で2問出題されたりします。

会社法総則は会社法で今まで習ってきた知識と被るものがありますので覚えやすいかと思います。

問題は商法で、会社法とは全く場面が違います。株主とか一切出てきません。言葉も聞きなれないものが多いです。

基本的には「取引先のせいで失敗したのに自分がお金を負担するのはおかしい」というニュアンスのことが各状況ごとに書かれていますが、そうは言ってもイメージしにくいので、「言葉がわからない」という次元だとしても、先生にしっかりと質問しにいきましょう。

 

 

<金商法>

最もややこしいです。

印象による勝手な推測ですけど、過年度でも捨ててる人ゴロゴロいるんじゃないのかな。

ですが当然の如く1回の試験で2問出題されます。

通常の講義だと最後に扱うと思いますが、講義のペースが遅いと試験に間に合わなくなるので、自分で進めましょう。必要があれば映像授業も使いましょう。

商法とともに8月中に終わらせられたらベストです。遅れると他の重要な理論科目を優先して一切手をつけず本番を迎える可能性があるためです。

言ってしまえば、有価証券や開示書類の名前や種類、誰がどこにいつ渡すのか、などを事細かに覚えられれば良いわけですが、すぐ忘れるし混ざります。

期間的に難しいとは思いますが、1回目の勉強が終わったら、本番までの間で十分な反復演習をするように心がけましょう。

 

 

<余談>

もし余裕がある方は、「会社法」の勉強に限っては「立法趣旨」も軽く理解するようにしてみてください。

「立法趣旨」とは、「その法律が作られた理由」のことです。短答式試験では一切問題に関係しないため覚える必要は全くないのですが、論文式試験では全ての問題に関係し、出題可能性のある範囲についてはしっかりと覚えなくてはならなくなります。

この「立法趣旨」は数が多く、必要な範囲を理解するには結構時間がかかります。このため、事前にある程度知っておくことで論文式試験をかなり有利に進めることができます。さらに、「立法趣旨」を理解することは短答式試験においても背景理解となり、暗記を助ける効果も期待できます。

とは言え、短答合格後でも十分時間はありますし、立法趣旨の理解で他の短答用の勉強が出来なくなっては本末転倒です。そもそもやらなくても全く問題ありません。

余裕がある方のみ挑戦してみてください。

 

 

<短答理論科目の共通注意点>

短答理論は4肢から2肢を選ぶ問題がほとんどです。

全肢の判断が正確に出来ればそれに越したことはありません。

実際は「○だと思うけど自信ない」「全くわからない」という肢が紛れています。

また、自分の知識が間違っており、「全肢見てみたら○が3肢あった」ということもあります。

・ 必ず全肢を確認。

・他の肢で判断できない時は、逆バリせず「○だと思うけど自信ない」を○にする。

・1肢削れば正解率は16%から33%に跳ね上がるため、1肢でも多く削る。

特に3点目が一番伝えたいことです。

1肢削れば得点の期待値が上がりますので、1肢でも多く削られるよう、なるべく論切りせずベストを尽くして本番に臨みましょう。

 

 

財務会計論、総合問題の解き方

財務会計論をやっていると、残高試算表、個別財務諸表、連結財務諸表、キャッシュフロー計算書等々、文章がたくさん書いてあって時間のかかる総合問題にぶち当たると思います。

総合問題は時間がかかるわ貸借一致しないわで苦手な人も多いかと思いますが、短答式では最終問題、論文式では第3問と第5問に大抵総合問題が出題されますので、対策をし、解けるようにしておく必要があります。

 

 

①問題文を読み、順番に全ての仕分けを正確に書く

総合問題では、「この文章の仕分けは時間がかかるから後回し」とかをすると、思ってもみなかった勘定科目に影響が出たり、どこのどの仕分けを後回しにしたかがわからなくなり、間違いの原因になります。「わからなくて解けない」は仕方ないとして、「時間がかかるから後回し」はなるべくするべきではないです。そして、下書きが美しくなくなり、集計も大変になりますが、正解を求めるのであれば、期首の洗い替えも含めて仕分けは全て正確に書くようにしましょう。なお、過年度分の仕分けを書く時はかっこをつけるなど、目印もつけておきましょう。当期分と混ざると死にます。

総合問題は個別論点を集めたものであるため、正確に仕分けを書けるようにするためには、個別論点の勉強においても仕分けを丁寧に書くことが大切と言えます。また、途中式である仕分けを丁寧に書くことで理解が深まり、誤答時の直しや反省もしやすくなります。めんどくさがらず、丁寧に書く癖をつけていきましょう。

 

 

②数値よりも問題文をよく読む

数値は答えの最終値を求める時や、問題文との整合性を確認するために使うものです。「どんな項目があるのかな」「どの項目がどれくらいあるのかな」といったことは、問題を解くにあたっては関係がなく、その確認を行うと時間の大幅なロスになります。

問題文を読み、順番に仕分けを書くことだけに集中しましょう。

 

 

③数をこなす

勉強が進むと「個別論点はかなり解けるようになったが総合問題が解けない」という状況が発生することがあります。

これは単純に経験不足です。

仕分けを全て書いていない、見落としによる集計ミス、時間配分の失敗等々、この段階まで来ると知識不足と言うよりも総合問題特有の理由で失点している場合がほとんどです。

これを解決するためには総合問題を多く解くことが重要になります。

問題集の後ろの方や答練を用いることはもちろん、短答式に限れば過去問の総合問題だけを何年分か確保して繰り返し解くことも良い方法だと言えます。(論文式は点差を作るための難易度が高い問題がいくつも紛れているため、慣れるために繰り返し解く問題には適しません)

所詮は個別論点の組み合わせであるため、特に連結会計ではさらに範囲が狭まるため、書かなければならない仕分けのパターンを理解してしまえば、かなりの精度で解けるようになります。

 

 

なお、純利益や利益剰余金などは、全ての仕分けを正確に書けていないと正解しませんが、逆に言えば一つ一つの仕分けを正確に書くことさえできれば合わせることができます。

個別論点の勉強をしっかりと行い、ちゃんと仕分けを書けたのであれば、ハナから諦めるということはせず、とりあえず集計するだけしてみましょう。もしかしたら当たるかもしれません。

 

 

 

ナマズン(このブログを書いてる人)について

偉そうに勉強法について書いていても、「お前誰なんだよ」って話になると思うので、このブログを書いている、私ナマズンの経歴や成績について簡単に説明しておきます。

かなり特異な経歴なので、身バレしない程度に簡単に書いていきます。

 

2018年4月勉強開始→12月短答合格→2019年8月論文合格

 

前職があり、塾の先生やってました。バイトじゃないです。

授業は得意ではないですが、生徒の分析や教材の作成については多少自信があります。

塾講師と言っても某予備校講師のように東大とかではないです。

偏差値50以下(パスナビ調べ)の会計とは無縁の大学にいました。

簿記は大学出てから就活のために2級まで取りました。前職に就く前の話です。

 

会計士試験の成績については、

短答:上位2%以内(順位/総受験者数)

論文:上位1%以内(順位/総受験者数)

で合格しています。

自分で言うのもなんですが、割と早期&上位合格ですね。

 

会計に関する講師をしたことはないですが、塾講師目線で「その勉強法はやばいだろ…」というものが受験生の間で流行っているように感じたため、少しでもそのやばい勉強法を改善できたら良いなと思い、このブログを作りました。

 

私について知ったところで成績は上がらないですが、どうしても気になることとかあれば、Twitterとか質問箱とかで聞いてください。それなりに特異な経験してきているので、人生崖っぷちの人とかの相談にも割と乗れると思います。ただし、繊細な生き物なので、不要なディスりは勘弁してください。

peing.net

 

 

 

短答式試験勉強法〜管理会計論〜

管理会計論とは>

管理会計論は資料の読み取りや計算が複雑であるために苦手にする人が多い科目です。足を引っ張る科目にしないように、しっかりと対策していきましょう。

管理会計論は計算と理論の2つから構成されています。

財務会計論同様、まずは計算を重視し、計算中心で進めていくことになります。

そして、管理会計論の計算についても6月あたりで比重を下げ、他の理論科目に力を注げられるようにしましょう。

この記事では進度や記事にあわせた問題集や答練の使い方よりも、管理会計論の勉強で注意すべきことを重点的に書いていきます。問題集や答練の使い方は財務会計論の計算と同様ですので、そちらの記事でご確認ください。

 

※この記事では範囲をいくつかに分け、下記の独自の呼称を使いますのでご了承ください。

原価計算原価計算基準に従って材料費や労務費とかを用いて個別原価計算や総合原価計算を行う範囲。

管理会計原価計算基準に従うものではない範囲。意思決定とか資金管理とか企業価値とか。

(※「管理会計論」と書いた場合は原価計算も含めた全体又は科目そのものを意味するものとします。)

 

 

<計算の勉強について>

管理会計論を苦手とする人の多くは算数が苦手な人だと思います。「計算の仕方」自体は極一部を除き中学生でも解けるくらい簡単なものですが、資料の数が多く、「どの計算方法を使えばいいのか」、「どの数値を使えばいいのか」といった点がわからなくなったり、時間が足りないことにより点数が伸びない、というパターンが多いのではないかと思っています。

そこで、算数が苦手でも半分くらいは点数を取れるようになることを目指して勉強法を書いていきます。

 

 

①グレーな知識を放置しない

原価計算では、ひとつの論点に複数の計算方法が用意されています。この全ての計算方法について「どのように計算するのか」、「どの計算方法を使えば良いのか」を完璧に自分の中に知識として落とし込んでおかないと、各知識が混ざって解き方がわからなくなったり、試験中に試行錯誤を繰り返すことで時間のロスが起こります。このため、計算方法については妥協することなく必ず「完璧」を目指して勉強しましょう。

 

グレーな知識かどうかを確認したい論点がある場合は、予備校の先生になったつもりで、生徒に配るためのわかりやすいまとめプリントを作ってみてください。知識がグレーな場合「ここがすごく大事だから注意して!!!」と強調したい箇所を上手く書くことができません。上手く書けるまでテキストを読んだり講師に質問をすることで完璧な知識へと進化していきます。

ある程度自信がついてきて友達がいれば、教える時に口頭ではなくまとめプリントを書いてあげるようにしても良いです。

友達がいなければ自分の復習用という名目で作ってみる、ということで良いです。実際にそれを用いて復習する必要はありませんが。

 

 

②計算スピードを高める

管理会計論は短答も論文も時間が足りません。このため問題の取捨選択が重要になる、と言われているわけですが、ハナから取捨選択することを考えないでください。まずは計算スピードを高めましょう。

私が重要だと思っている計算が遅れる理由は2つあります。

・資料の読み取り、必要な数値の選択に時間がかかる

・どの解き方を使えば良いのかで悩んだり、不要な計算を行っている

 

前者は問題を解き慣れていないために起こります。

問題集、答練を何度も解き、出題形式のパターンを覚えていきましょう。

特に計算途中で使う数値について、「どのタイミングで何を使っているのか」ということに注意して覚えていきましょう。

 

後者は知識がグレーであるために起こります。

解決策は①に書いた通りです。妥協せず、完璧を目指しましょう。

あと、下書きが汚くても起こります。自分が読めるように書きましょう。

 

また、普段の問題集や答練を解く際に時間を計って解く、ということも計算スピードを高めることに繋がります。初見でかかる目安の時間がわかる場合には、その半分の時間を最終目標にして勉強してみましょう。

 

 

③「管理会計論が苦手」と思わない

自己暗示をかけてはいけないということです。

管理会計論が苦手」という自己暗示にかかると、見たことがない問題にぶち当たった時に、特に考えることなく捨てる選択をするようになります。

そして苦手とわかっていながら苦手を克服しようとしなくなり、管理会計論をどうにかしないといけないのに管理会計論の勉強が疎かになっていきます。

知らない問題でも文章を読んで、自分の知っている知識と組み合わせてみたり、問題の指示に従ってみたりすると意外と正解したりするので、そういった機会をなくさないためにも、苦手意識を持たないようにしましょう。あくまでも「勉強が足りない」と思うべきです。

 

 

<理論の勉強について>

管理会計論の勉強は予備校にもよりますが、後回しになりがちです。

実際、理論の勉強にかける時間で考えれば

「企業法>監査論≧財務会計論>>管理会計論」

が妥当でしょうから、後回しになるのもしょうがないです。

しかし、ただでさえ計算が荒れる管理会計論ですので、理論が疎かになると「足切り」の可能性がチラつきます。

時間的に厳しいかもしれませんが、可能な限り足掻いていきましょう。

 

原価計算基準を読み込む

他の記事でも触れましたが、原価計算基準は論文式試験でも文言を書く問題が出題されます。

ここまで明確にコスパが良い範囲は他にないため、必ず原価計算基準の勉強はしましょう。

原文に拘らなくても、予備校の教材によっては逐条解説(原文を分解して一つ一つに解説がついているもの)が用意されているので、そちらを用いても良いと思います。また、企業法と同様に原典がハッキリしているため、肢別問題集を繰り返し解いて覚えることも有用です。

なお、短答式試験では「文章を読んで正誤の判断ができる」レベルで良いため、一語一句正確に覚える必要はありません。超精度の正確な暗記は論文式試験まで取っておいてください。

 

なお、原価計算基準は原価計算で行っている計算を文章にしたものです。

このため、文章を読んでもよくわからない人は計算で流れを確認し、図でイメージしながら覚えるようにしましょう。

また、使われている言葉自体が難しく、辞書で調べてもよくわからないものも多いため、講師に聞いて解消していきましょう。

 

 

管理会計は深追いしない

時間がある人、余裕がある人、過年度は深追いしてください。

テキスト精読して肢別繰り返し解いていけば何とかなります。

 

管理会計の範囲は原価計算の範囲と異なり、明確な原典がありません。そして、「出題の要旨に書かれてない問題が出た!」と騒ぎになるのは大抵管理会計です。さらに必要な知識が多く、マスターするには中々時間を要します。

管理会計論の理論については12月短答では物理的に時間が足りないことも想定でき、最悪「経営的にこの理屈はマズいでしょ…」の観点でマルバツ判定できる場合もあるため、他で足切り回避できるくらいになれば、あとは深追いしなくても良いとは思います。

では、最低ラインである「経営的に…」の観点で判定できるようになるためにはどの程度の勉強が必要なのかということですが、単語と単語の意味を覚えていけば良いと思います。具体例で言うと、「統制って何?調整って何?」ということを確実に覚え、最悪「何で予算組むの?」ということをセンスで解く、という形でいけます。

まぁ前述の通りちゃんと時間がある場合はちゃんと勉強した方が良いですし、あくまで短答式の話ですので、短答式合格後は改めてしっかり勉強していきましょう。

 

 

 

<最後に>

記事内でも少し触れましたが、管理会計論は荒れる可能性があり、超難度で足切りがあり得ます。

そもそも短答式試験では時間が足りません。

試験本番において理論問題を後回しにすると「焦って理論の問題文を落ち着いて読めない」「計算に時間がかかりすぎて理論の問題を解けなかった」という事態があり得ますので、「理論15〜20分→計算40〜45分」の順で解くのがベターだと思いますが、計算問題は8問な訳です。一応1問5分程度で解くことができるように作られていますが、試験本番でも例外なく全ての計算問題を1問5分で解ける能力がある人ならそもそも苦労せず受かる訳です。

このため、管理会計論でどうしても時間が足りない場合には、ハナから計算を2問くらい捨ててロト6するのも悪手ではないということを知っておいてください。

現在の短答式の管理会計論において最も重要なのは、高得点を取ることではなく足切りを絶対に回避することです。